駆け抜けた”天才” ジル・ビルヌーブ (その5)

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1979年、フランス・グランプリにて。今も語り草となっているジル・ビルヌーブとルネ・アルヌーの二人が壮絶なそれでいてクリーンなバトルを演じたレース("autosport.com"より)

"YouTube"の動画より、1979年、フランス・グランプリでのジル・ビルヌーブとルネ・アルヌーによるバトル
YouTube - Gilles villeneuve vs Renè Arnoux best about 1979 F1

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ランキング2位に!

いいにつけ、悪いにつけジル・ビルヌーブの走りは、世界各国のモータースポーツ・ジャーナリスト達の、格好の話のネタになった。が、ジルの走りの回数が重なるごとに、評価はかなり変わっていった。それを裏付けたのが1979年シーズンであった。

この年のフェラーリ・ワークスは、ナンバー1がジョディ・シェクター、ナンバー2がジル・ビルヌーブ。 主力マシンは312T4で、戦闘力が高いウイングカーである。結果的にジョディ・シェクターは、このマシンでチャンピオンに輝いている(総得点60,有効得点51)。

彼をよくサポートしたジル・ビルヌーブは、

2/4:ブラジル:5位
3/3南アフリカ:優勝
4/8西アメリカ:優勝
7/1フランス:2位
8/12オーストリア:2位
9/9イタリア:2位
9/30カナダ:2位
10/7東アメリカ:優勝

自身で総得点53,有効得点47を挙げ、シェクターに次いで堂々2位に食い込んでいる。コンストラクターズ・チャンピオンも、ふたりの活躍で113点となり、ウィリアムズの75点を振り切って王座に君臨した。

彼は、ファステスト・ラップを南アフリカ、西アメリカ、スペイン、ドイツ、オランダの各グランプリで叩き出し、ジル・ビルヌーブ「恐るべし」の印象を植え付け始めたのである。

特に、7月1日のフランス・グランプリでのルネ・アルヌーとの息詰まるデッドヒートは、今でも語り草としてレーシング・ファンの間に伝わっている。

ジャン・ピエール・ジャブイーユとアルヌーのふたりが駆ったのはルノーRS・ターボ。ジルはこの2台のチームプレー間から、2位の座を自身で守ったのである。守ったと言うと、消極的に聞こえるだろうが、彼の場合は違った。非常に積極的(アグレッシブ)に守った、といえばいいだろうか.....。

この日はジャブイーユとルノー・ターボの初勝利の日であると共に、また、ジルとアルヌーの死闘の日として記憶に残る1日となった。だが、恐るべきターボ・パワーをジル自身が、やがて知ることになるのである。

余談だが、ジル・ビルヌーブの性格を知るうえで参考になるようなことがこの年あった。それも記しておこう。

イタリア・グランプリでジョディとジルが1,2位(レース途中から編隊を組む形となった)でゴールを切った時のことである。まだ得点差でジルに、その可能性(チャンピオン)が残されている時だったが、ジルはチームのオーダーに従った行動を取った(上位を抜かない)。素直で従順......「この結果はごく自然」、ジルを直接知る人はこぞってそう言う。

しかし、だからといってジルは、単純にオーダーに従ったというわけではなさそうだ。つまりは、ジルにとって、2位を走っている時点で、(自身が考えた)逆転の可能性(このレースでジョディのチャンプが確定するのだが)の低さとチームのオーダー上から、ここは割り切ったと言えそうだ。言い換えれば”ドライ”、という表現も当てはまりそうである。

これを裏付けるように、この逸話には尾ヒレがつく。、レース後、フェラーリ・チームのエンジニア、マウロ・フォルギエリが感激してこう話した。「ジルのスポーツマンシップとチームに対するプロフェショナルな精神には感動した」と。が、これを聞いたジルは、こう言ったたともいわれる。「われわれを脅かしていたリジェ/DFVのジャック・ラフィーがリタイアした時、僕のポジションは2位だった。グレードなドライバーで、”フレンドリー”のジョディにつづいての2位なんだぜ、単純にそれで納得するさ」と。

『続く』

モーターレーシング歴史館より

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この記事へのコメント

2007年05月10日 20:56
1979年フランスGPは本当にすばらしいレースでした。激しいだけでなくお互いにフェアな戦いをしました。ドアを閉めることをしなかったのでコーナーで併走を続けました。こんなレースもう見ることができません。
2007年05月11日 00:52
lotus49fordさん
まさにそのとおりですね。何回見てもこのバトルは素晴らしいですし、少なくとも現在のF1では見ることはできないのでしょうね。残念ですが・・・。

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